送電工事プロジェクトストーリー 西日本新黒部支線建設プロジェクト

北陸新幹線に
電気を送れ!

富山駅発車から10分たらず。北陸新幹線「かがやき」は富山県東部の丘陵部にさしかかる。その車窓に一瞬、一基の送電鉄塔が姿を見せる。北陸電力送配電の送電網の一部、西日本新黒部支線。ここから供給される電力は、JR西日本新黒部変電所で154kVから25kVに変えられ、北陸新幹線を動かす。

新幹線開業4年前の夏。西日本新黒部支線の建設プロジェクトはすでにスタートしていた。2つの尾根にはさまれた谷あいに6基の送電鉄塔を建設し、変電所までの延長2kmを繋ぐ。工事最大の難所は、高台の黒部江口線から分岐し、並行する愛本線を超えて新鉄塔に架線する部分。100mの高低差がある中で、愛本線の電気を利用するお客さまに支障が出ないよう、安全に電線を交差させなければならない。その難題をクリアするために、入念な工事計画が練られた。

着工から2年目の秋。高さ60mの鉄塔6基が完成し、いよいよ架線工事の日を迎えた。ヘリコプターを使って鉄塔間に渡されたナイロンロープが、ワイヤーに引き継がれ、やがて巨大なドラムに巻かれた電線に引き継がれていく。巻き取るエンジンの操作と、送り出すドラムのブレーキ操作。おたがいの呼吸をぴったり合わせ、仲間の安全を気づかいながら、緊張の面持ちで架線作業が続く。

やがて秋晴れの空に、光輝く真新しい送電線が美しい曲線を描いた。送電マンたちがプロの誇りをかけて建設した西日本新黒部支線。きょうも、北陸新幹線に電気を送り届けている。