春のやわらかな日ざしが届く日曜の朝だった。突然の激しい揺れが人々の穏やかな休日を直撃した。2007年3月25日午前9時41分58秒、輪島沖を震源とするマグニチュード6.9の能登半島地震発生。各地で道路が陥没し、様々なライフラインが寸断状態に陥った。
北陸電力送配電の配電網も例外ではなかった。地震発生直後、高圧線の断線や電柱の損傷で、石川県内では最大約11万戸の停電が発生した。
ところが驚くべきことに、同日18時15分、地震発生の9時間後には、倒壊家屋などを除いた輪島市内への電力供給が復旧。翌日の26日16時50分には、石川県内全域の停電も解消した。そこには、みずからも被災しながらも、懸命な復旧活動に努めた配電マンたちの姿があった。
災害時の復旧は被害状況の確認から始まる。すぐにでも被災した人々に電気を送りたいところだが、現場状況が見えないうちは、漏電による火災や断線からの感電も危惧される。遠回りにも思える状況確認が、むしろ復旧のスピードを速めるのだ。
配電網の安定供給をさまたげるのは、地震のような大災害ばかりではない。交通事故、強風による飛来物、大雪による倒木、そして落雷。様々な原因で発生する停電に、配電マンたちはスピーディで確かな対応を求められている。
そうした迅速な復旧活動を可能にしているのは、「地域の人たちに電気のない不便な生活を強いてはならない」という配電マンたちのプロ魂にほかならない。